夢を叶えるオーディション

アイドルと一般人は紙一重

「アイドル」とは人の羨望を得る存在です。それはその個人の実力というよりも、マーケティングや打ちだし方を含めた総合的なビジネスの取り組みの結果として現れる人気です。長く続くアイドルは長く続きますし、短命なアイドルは短命です。あえてアーティストとアイドルをわけて考えるとするならば、事業者がマーケティングの結果見出した市場とそれに対応する人材、打ちだし方などを総合して擁立された存在が「アイドル」であるのに対して、アーティストは自らのクリエイティブで世間に挑むという点が違います。「アイドルになりたい」ということは最もポピュラーな夢ですし、誰もが憧れてこそのアイドルなわけです。「どうしたらなれるのか」ということがもっとも掴みづらい存在がアイドルですし、事業者がそのようなマーケットを見出さない限り、そのような企画が立ちあがらない限り、単独ではなろうと思ってもなれないものです。
そんなアイドルの立ち上げは、まず「企画」があり、その企画が求める「人物像」があって、そこに合致する人材を集めるために広くオーディションを行ったり、すでに予備軍として事務所に在籍している人材から抜擢したりと、ケースは様々です。それぞれのアイドルに求められることも違いますし、それは企画やマーケットによって変わるものです。難しいのですが、自らクリエイトして演奏するアーティストは、たとえ事務所との契約がなくなっても、プロでなくなったとしても、ずっと音楽を続けることができます。ですが、アイドルはアイドルとして活動できる場がそのまま「ビジネス」の場ですから、マーケットが無くなってしまえば活動出来ないのです。
そんなアイドルと一般人の差は、実は何もありません。アイドルを音楽的に軽視するわけではないのですが、歌を特に専門的に学んだわけでもなく、演劇を専門的に学んだわけでもなく、存在として人々に受け入れられれば成立するのがアイドルです。極端に解説すると、歌が下手でもアイドルになれてしまいますし、アイドルになったあとは数多くのメディアに露出することになります。その流れで演劇に関わることもあるかもしれませんが、演技を専門的に学んだわけでもなく、それも「アイドルだから」成し得ることになります。そのかわり、「人気」を維持し続けなければ、市場が存在し続けなければ仕事を得ることが極端に難しいものになります。ですから、そのポジションにいるかいないのか、という差は「運」や「タイミング」であって、誰もがアイドルになれる可能性を秘めているのです。そのようなオーディションの場に挑もうという覚悟があれば、可能性は誰にでもあるのです。だからこそ、アイドルのオーディションには応募が最も殺到するのです。その企画と人材の巡り合わせの場がオーディションです。これは何度も挑む価値があるというものです。ですが、アイドルは「若い」という一般的な認識もあるものですから、年齢的なリミットは考慮した方が良いでしょう。ずっとアイドルで居続けられる例も少ないのですから、青春時代の一ページとしてアイドル時代の活動があってもいいかもしれません。「一生涯アイドル」というのはなかなか稀な存在なのです。

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