夢を叶えるオーディション

オーディションの目的

芸能事務所やプロダクション、音楽系であればレコード会社やレーベルが人材を広く募るのには相応の理由があります。そのようなショービジネスは「人に気にいられて」はじめて収益を出すことができます。そして、「世間」というものは案外冷たいものです。昨日まで流行っていたものが今日は全然見向きもされない、今までたいしたことがないと侮られていたものがいきなり人気を博すなど、その波は予測が不可能です。少しでも自社の人材が露出されたり、人気を持ってくれないとショービジネスとしての事務所やプロダクションは収益が上がりませんから、常に必死です。さらに現在は人の嗜好は細分化され、さまざまな分野で深く掘り下げたショービジネスが展開されています。音楽はもちろん、アイドルやタレントなども、それらさまざまな嗜好に対応するために細分化しています。その中で、事業を保つために安定的に収益をあげることは生半可なことではありません。既存のリソースだけでは、とても対応できないという局面もあります。
また、世の中の風潮や人気の傾向を自ら操作しようというのもショービジネスの戦術のひとつです。明確にコンセプトを掲げそれに対応した人材で新たな分野を開拓するというものです。ショービジネスなりのマーケティングと、世相を判断して勝負に出るのです。世の中のブームや流行、風潮などは必ずどこかに「始まり」があるものです。自然と生まれるムーブメントなどはありません。ただ、多くの人が接するようになったときには、なぜそんなに流行っているのか、どこから来たのかはわからなくなっているものなのです。それぞれのブームは各事業者が収益を上げるために大切な土壌となります。醸成されたその分野の市場で、自社の人材を如何に露出していくのか、ということが生き残るための大命題です。
また、それとは別に人材そのものに長く固定ファンがついていれば、流行や世相の影響をあまり受けないで済むということもあります。同じ人材が長く固定客をつかんでくれれば、安定的に収益が上げられるのです。ショービジネスを目指す人間が志すのはこちらの方です。マネジメント側も、表舞台に出る人間も、流行や世相に惑わされない、確固たる存在として世にあり続けるということで、ビジネスとしても、存在としても「成功」といえる状態になるのです。
オーディションはそのようなことを背景にして行われます。「今」だから必要な人材を探したり、流行に惑わされず長く安定して存在し続けられるような人材を探しているのです。言葉で書くと難しいように感じられるのですが、要するに「存在しているだけでビジネスになる」ような逸材が発掘出来れば、その事業者は安定して収益を上げられるのです。そのようなことを理解してオーディションに挑むことは重要です。ボランティアでアナタをアイドルに育てたいわけではなく、「やる気」でもなく、「事業」として成立するかどうかが大切なのです。育てる必要もなく、即戦力としてショービジネスの世界に投入できる人材であれば、それはそのほうが良いに決まっているのです。
ある意味「オーディション」とは、入社試験よりもシビアなものです。自分の努力だけではどうにもならないことも沢山あるでしょう。